アフリカ主要5カ国の VAT(付加価値税)制度まとめ
アフリカ進出を検討する日本企業にとって、現地の付加価値税(VAT)は避けて通れない論点となる。大半のアフリカ諸国では、日本の消費税に相当する間接税として VAT が整備されており、近年は非居住者デジタル事業者への課税も各国で急速に広がっている。本稿では、PwC Worldwide Tax Summaries を元に、AfricaFind の重点市場である南アフリカとナイジェリアを中心に、ケニア・エジプト・モロッコを加えた主要5カ国の制度概要を整理する。
早見表(2026年時点)
| 国 | 標準税率 | 登録基準(年間売上) | 非居住者デジタル課税 |
|---|---|---|---|
| 南アフリカ | 15% | ZAR 100万(2026/4/1〜 ZAR 230万) | あり |
| ナイジェリア | 7.5% | — | あり(指定業者制) |
| ケニア | 16% | KES 500万 | あり(B2C 2021〜、B2B 2022〜) |
| エジプト | 14%(機械設備等は軽減5%) | — | リバースチャージ方式 |
| モロッコ | 20%(標準、他に10%・0%) | — | 非居住者デジタルも対象 |
南アフリカ:税率15%、登録基準が引き上げへ
標準税率は 15%、ゼロ税率区分あり。登録義務は年間売上 ZAR 100万超だが、2026年4月1日から ZAR 230万 に引き上げられる予定。任意登録の基準も ZAR 5万から ZAR 12万へ引き上げ。非居住者による電子サービス提供も登録義務の対象。申告は月次または隔月。
ナイジェリア:2020年に5%→7.5%に引き上げ
標準税率は 7.5%(2020年2月に5%から引き上げ)。基礎食品、医薬品、書籍、教育資材などは非課税。MTN・Airtel・政府機関・銀行・石油ガス企業は、仕入先への支払い時に VAT を源泉徴収して FIRS に納付する義務を負う。非居住者のデジタル事業者は、指定を受けた場合に取引通貨建てで VAT を徴収・納付する。
ケニア:16%、デジタル課税と電子インボイスを強化
標準税率は 16%。登録基準は12カ月で KES 500万超。2023年7月以降、仕入税額控除には仕入先が売上インボイスを VAT 申告に含めていることが追加要件となった。2025年 Finance Act で還付申請期間が24カ月→12カ月に短縮。非居住者によるデジタルサービス供給には簡易登録制度が整備されている。
エジプト:14%、輸入サービスはリバースチャージ
標準税率は 14%。生産ライン設立用の機械設備には軽減税率 5% が適用される(バス・乗用車は除く)。一部の商品・サービスには「スケジュール税」が別途課される。非居住者からの輸入サービスは、国内の受領側がリバースチャージ方式で VAT を納付する。
モロッコ:段階的改革で0%/10%/20%の3段階へ
2024年財政法により、2024〜2026年にかけて税率体系を 0%・10%・20% の3段階へ段階的に移行中。標準税率は 20%。2024年にはVAT 源泉徴収(WHT)制度も導入され、税務コンプライアンス証明書を提示できない機器供給業者や、特定サービス提供業者に対する75%源泉徴収などが運用されている。
実務上の注意点
税率・閾値・デジタル課税ルールは各国で頻繁に改正されている。進出案件や契約更新時には必ず最新の公式情報(SARS、FIRS、KRA、ETA、DGI 等)や税理士の確認を取ることを推奨する。本稿は2026年4月時点の PwC Worldwide Tax Summaries に基づく概要整理であり、個別具体的な税務判断の根拠とはならない。
参考文献
- PwC Worldwide Tax Summaries — Other taxes(各国版、2026年4月閲覧)
- 南アフリカ:https://taxsummaries.pwc.com/south-africa/corporate/other-taxes
- ナイジェリア:https://taxsummaries.pwc.com/nigeria/corporate/other-taxes
- ケニア:https://taxsummaries.pwc.com/kenya/corporate/other-taxes
- エジプト:https://taxsummaries.pwc.com/egypt/corporate/other-taxes
- モロッコ:https://taxsummaries.pwc.com/morocco/corporate/other-taxes